
令和7年度Tango Good Goods認定商品の認定状況について
令和7年度のTango Good Goods認定状況
令和7年度Tango Good Goods(丹後ブランド産品)認定商品ついては、商品数55点(35業者)の応募がありました。
6月25日(火)・26日(水)に令和7年度Tango Good Goods認定審査会を開催し、下記3名の審査委員に全ての応募商品を審査いただきました。
審査の結果、推奨されました丹後産品について、6月27日(木)に「Tango Good Goods認定推進委員会」で協議し、商品数55点(35業者)を令和7年度Tango Good Goods認定商品として認定しました。

令和7年度優秀産品の紹介
令和7年度のTango Good Goods認定商品の中で特に優秀で、認定事業の推進並びに地場産業の活性化に寄与し、 丹後のものづくりの模範となると認められるものとして、令和7年度優秀産品6点が選ばれました。
評価ポイントなど審査員の講評コメントをまとめておりますので、ご紹介します。
令和7年度優秀産品一覧
商品名 | 業者名 | 評価ポイント |
---|---|---|
ブリカマの煮つけ (商品形態:レトルトパウチ) | 天の酒喰食房 | 伊根産養殖ブリの出荷時に魚のあらとして廃棄されるか、鮮魚店で売られる「かま」を煮つけにし、高付加価値化した商品へと転換した商品。レトルト食品化することで常温流通が可能となり、賞味期限も延長された。また、副菜と見なされがちなレトルト食品を「メインの一品」として位置づけ、高温調理によって味がよく沁み込み、柔らかく美味しい仕上がりとなっている。 養殖業支援と食品ロス削減を同時に実現する、持続可能なビジネスモデルとして高く評価された。 |
沖ギスアヒージョ (商品形態:缶詰) | 合同会社まるっぽ間人 | 「安い魚」として扱われていた地域水産資源・オキギス(ニギス)を、イタリアン調理法で高付加価値商品に転換。「隠れた地域産品」に光を当て、骨まで柔らかく仕上げる技術力で食べやすさを実現している。 「他にない商品」として市場での独自性を確立し、地域漁業の収益向上が見込まれる。また、地域おこしの「まるっぽ間人プロジェクト」から合同会社の設立へと発展し、製品化に至った"物語性"も高く評価された。 |
京丹後の梨ジュース (商品形態:瓶) | しばの農園 | 京丹後産の梨を使用し、添加物を一切使わずに自然な甘さを引き出した技術力が評価された。梨は味が薄くなりがちでジュース化が難しいとされるが、その希少性を活かして競合の少ない市場で独自のポジションを確立している。 バイヤーからは「地域のお土産はもちろん、都市部でも十分期待できる商品」として注目されている。 今後は、20世紀梨など他品種への展開も期待される。 |
TANGO KINGDOM Beer® (商品形態:缶) | 株式会社丹後王国ブルワリー | 瓶ビールから缶ビールへの移行により、賞味期限が従来の1か月から半年〜1年へと大幅延長された。冷蔵流通が不要となり常温保管が可能となったことで、流通コストの削減と販路の拡大も実現している。 瓶ビールが主流であるクラフトビール業界において、「缶化」という業界全体の新たな潮流に先駆けて対応した先進的な取り組みとして、既存商品の改良による成功モデルと高く評価された。 |
Ishcaウエットドッグフード (商品形態:レトルトパウチ) | 株式会社Enuncia | 京丹後市内で捕獲された鹿肉と、農薬不使用などこだわりの地元野菜を使用したペットフード。もとは冷凍販売されていた商品だが、レトルトパウチ化により保存性と利便性を向上した。 ペットフード市場は、多少高価でもペットの健康や長寿を重視する傾向があり、今後の販路拡大も十分に期待できる。また、「キャットフード」などへの商品バリエーション展開も期待される。 本商品は、丹後の食材を活用した新ジャンルの商品であり、既存事業の技術改良と新市場の開拓を組み合わせた、地域産業発展のモデルケースとして高く評価された。 |
YUHUNEフェイスパウダー (商品形態:化粧品) | ながすな繭株式会社 | 養蚕から絹糸、パウダー加工に至るまで一貫した自社生産体制を構築。許可取得が難しい化粧品製造業の許可を丹後で初めて取得し、全工程を自社で担って製造された商品である。 本製品に使用されているシルクパウダーは、「シルクビーズ」と呼ばれる極めて真球に近い微粉末で加工されており、世界的にも高く評価されている技術によって、しっとりと滑らかな使用感を実現している。 シルクを持続可能な新素材と捉え、新素材開発から再生医療に至るまで幅広い事業展開の一環として誕生した本製品は、絹織物の産地から新ジャンルへの挑戦として、その可能性が高く評価された。 |
令和7年度Tango Good Goods認定審査員の講評

○小畑 陽一 審査員
JFSマスター(農林水産省認定HACCP相談員)。登録経営戦略マーケティング専門家として、食品関連中小企業の販路開拓や商品開発支援に精通。マーケティングの視点から、価値訴求と売れる仕組みづくりの両面で企業を伴走支援している。
(主な審査担当部門 マーケティング)
今回も様々な工夫が盛り込まれた商品を審査させていただきました。商品開発において最も重要なのは「価値開発」です。消費者の心配事や期待に応えるために、どのような価値をその商品にもたせるかが肝となります。
約50商品を拝見しましたが、「鶏の唐揚げ」のような素材でできた商品の商品名が多く見受けられました。これは非常にもったいないことです。商品名は最初に目に飛び込んでくる重要な要素であり、商品の価値を伝える重要な役割を担っています。価値には様々な角度があります。味の特徴、食感、地域性、希少性、手作りの価値など、それぞれの商品が持つ独自の価値を商品名やパッケージで表現することが重要です。たとえば、手作りで作られた商品なら「手作り」という価値を商品名に反映させる必要があります。
価格設定においても、単純な原価計算ではなく、「価値の価格」を考えることが重要です。商品の価値をまず明確に設定し、その後に原価計算を当て込んで調整していくという考え方が、より消費者に響く商品づくりにつながります。
この「価値」という概念は、商品名、価格、パッケージデザインなど、商品に関わる全ての要素決定に活用できます。商品の何かを決める際には、全て「価値」に置き換えて考えていただくことで、一歩踏み込んだ検討ができるはずです。
ぜひ、自分の商品の「売り」は何か、何を伝えたいのかをよく考え、それを効果的に表現する商品名を考案してみてください。また、商品名の検証の場としてマルシェなどの対面販売も効果的です。お客様と直接対話しながら商品の魅力を伝え、反応を確認できる貴重な機会となりますので、マルシェ等でも積極的にコミュニケーションをとり商品力の向上を目指すことでより売れる商品が多くなると思いますのでぜひご検討ください。

○的早 剛由 審査員
食品表示やHACCPの専門家であり、官公庁や民間での豊富な実務経験をもとに、品目管理・衛生指導など多方面で支援を行っている。
(主な審査担当部門 ラベル表示・コンプライアンス)
Tango Good Goods 認定審査会の食品表示審査に携わって約10年になります。10年前と比較すると、食品メーカー各社のご努力により、食品表示の質が大幅に向上しており、法律からかけ離れた表示はほとんど見受けられなくなりました。現在では、100点満点に近い表示がなされている製品が多数を占めています。
しかし、今回の審査において気になった点が数点ありました。
まず、原材料表示において、食品添加物の中で「植物油脂」という原材料が記載されていた事例が1件ありました。食品添加物以外の原材料と食品添加物は明確に分けて、それぞれを重量順に記載する必要があります。
次に、蜂蜜を使用した4製品のうち3製品で、法定表示が欠けていました。蜂蜜使用製品には「1歳未満の乳児には与えないでください」の表示が法律で義務付けられています。1歳未満の乳児はボツリヌス菌に対する抵抗力がないため、この表示は必須です。
また、塩製品において製造工程の表示が抜け落ちていた事例がありました。塩製品には「平釜製造」「乾燥製造」等の製造方法表示が法律で義務付けられています。
食品表示法は年々改正があり、アレルギー表示の追加義務なども含め、常に最新の情報に対応する必要があります。アミティ丹後等からの支援情報も活用しながら、今後も100点満点の食品表示を目指して出荷していただくよう、引き続きの努力をお願いいたします。

○本山 喜之 審査員
6次化商品の開発支援や販路開拓支援の専門家。京都の道の駅やGOOD NATURE STATIONなど複数拠点での実践経験を持ち、消費者目線に立った現場ベースのアドバイス・改善提案を強みとする。
(バイヤー審査員)
京都を中心とした魅力的な商品を仕入れるバイヤーとして、「売れる商品」の視点から審査させていただきました。
今回の審査では、地域特産品部門(観光客向け・買いやすい価格帯)と一般流通商品部門(市外販売・しっかりとした利益確保)の2つの部門がありましたが、効率を考えると、地域特産品として作った商品をそのまま一般流通に展開できる商品が理想的です。例えば、地元では450円で販売している商品に付加価値をつけて600円で市外販売するという戦略が効果的です。
売れる商品のヒントをいくつかお伝えします。
まず、商品の「見え方」が重要です。平置きされた商品と、立てて陳列された商品では、明らかに立てられた商品の方が目立ちます。スタンドパウチ包装は多少コストがかかりますが、お客様の目に留まる効果は絶大です。
次に、パッケージの配色も重要です。冷凍焼き芋に紫を使っても映えないように、状況に応じた色の使い方が問われます。中身の色を想起させるような配色が効果的です。
また、食感の表現も重要です。「とろ〜り」「プリプリ」といった言葉は、購買意欲を後押しする強い訴求力を持ちます。さらに、価格に対する心理的印象を和らげる工夫として「◯人前」などの量表記も効果的です。
私自身も京丹後への移住を考えており、今後はより近い距離で皆様と関わりながら、売れる商品づくりをサポートできればと思っております。