令和6年度Tango Good Goods認定商品の認定状況について
令和6年度のTango Good Goods認定状況
令和6年度Tango Good Goods(丹後ブランド産品)認定商品ついては、商品数56点(34業者)の応募がありました。
6月26日(火)・27日(水)に令和6年度Tango Good Goods認定審査会を開催し、下記4名の審査委員に全ての応募商品を審査いただきました。
審査の結果、推奨されました丹後産品について、6月28日(木)に「Tango Good Goods認定推進委員会」で協議し、商品数52点(30業者)を令和6年度Tango Good Goods認定商品として認定しました。
令和6年度優秀産品の紹介
令和6年度のTango Good Goods認定商品の中で特に優秀で、認定事業の推進並びに地場産業の活性化に寄与し、丹後のものづくりの模範となると認められるものとして、令和6年度優秀産品5点が選ばれました。
評価ポイントなど審査員の講評コメントをまとめておりますので、ご紹介します。
商品名 | 業者名 | 評価ポイント |
さくらうどん・さくらの葉うどん | 菊水食品株式会社 | これまで生うどんとして販売していた商品を日持ちがする乾麺として開発。与謝野町を日本一の桜のまちにする「百商一気」プロジェクトの取り組みとして、さくらとさくらの葉ペーストをうどんの生地に練り込んで、色と香りにこだわった商品。 乾麺製品の多くが袋入りですが、本商品は透明な円筒ケースにいれることで小スペースに立てて陳列が可能になり、ラベルも柔らかい色彩で、企画段階から店頭に陳列されたときのイメージができている商品です。 食べるとさくらとさくらの葉がほのかに香り、のど越しも良く、地域おこしの取組みと商品化を評価しました。 |
レンジでポン!シリーズ | うめや本舗 | 丹後ばら寿司、牡蠣めし、サザエめしなどこれまで日配商品で一日の消費期限でしか流通できなかった米飯類を冷凍商品とし、袋のままレンジで解凍、加熱できる商品とすることで、小ロットの納品はもとより製造も一括して可能になり、食品ロス率の削減と作業の効率化に成功した商品。 パッケージも華やかで、バリエーションの豊富さから陳列した際のインパクトがあり、解凍しても出来立てと遜色ないレベルの味となっています。 |
白バイ貝のエスカルゴバター | 株式会社橘商店 | 鮮魚や干物は鮮度の問題があり、お土産として購入しづらいという消費者のニーズにより、京丹後市食品加工支援センターで長期常温保存が可能なレトルトパウチで商品化を企画。 京丹後市で漁獲量があるバイ貝をエスカルゴバターと合わせて新たな食の提案として商品化されました。 温めると身も柔らかく、エスカルゴバターの風味と良く合います。 レトルトパウチとすることで、長期保存と常温流通、販売が可能となり、通販、海外輸出など幅広い販路が期待できます。 今後も京丹後の様々な海の幸でバリエーション展開が期待できる商品として評価しました。 |
味土野大納言ぜんざい | うめや本舗 | 京丹後市味土野の肥沃な土地で栽培した小豆で通常より「2倍程度大きく」「味も香りも良い」「煮崩れしにくい」特徴があります。 その小豆をお手軽にぜんざいで食べられるように京丹後市食品加工支援センターでレトルトパウチした商品。温めると出来立てそのままの味と食感が楽しめます。 レトルトパウチとすることで、長期保存と常温流通、販売が可能となり、通販、海外輸出など幅広い販路が期待できます。 生産者支援及び地域を盛り上げる背景、新たな加工技術による商品展開など認定事業の範となる商品です。 |
特選サペラビ樽熟成 | 天橋立ワイン株式会社 | 日本での栽培は非常に少ない希少品種のサペラビを100%使用したワイン。 発酵時にセニエ(果皮・種と果汁を別々に発酵)を行い、2年間樽熟成させた赤ワイン。しっかりとした味わいとスッキリとした余韻で飲みやすい。 他にない味わいと高級感があり、丹後のぶどうの良さ、丁寧なお酒造りを評価しました。 |
令和6年度Tango Good Goods認定審査員の講評
○小畑 陽一審査員(京都府農業会議専門家・農林水産物輸出サポート隊)
経営戦略マーケティング専門家
(主な審査担当部門 マーケティング)
食品の商品開発から販売までのプロセスに関わっており、各地域でそのお手伝いをさせていただいています。日々、皆さんのご努力を目の当たりにしながら、特に最近は素晴らしい商品を多く見る機会に恵まれました。昨日と今日試食した食品はどれも本当に美味しく、また工芸品もその素晴らしさに感動しました。
私たちの仕事は、これらの商品がどのように市場で販売されるかを見ることですが、その中で特に注目しているのは、ふるさと納税を利用した商品展開です。多くの自治体がこの制度を採用しており、掲載費用は無料で、場合によっては商品の発送コストも自治体が負担しています。このように、低リスクでテスト販売を行うことが可能ですし、フルーツや旬の商品など、地域の特産品が特に人気で納税者も地域の製品から温かみや本物感を求めています。
また、商品名の重要性について、皆さんにお伝えしたいことがあります。丹後産品の多くの商品は、商品名が単に原材料や製品の種類をそのまま表現しているケースが見受けられます。例えば「〇〇のジャム」といった具合です。 しかし、実際の販売現場では、より創造的な商品名が効果を発揮することが多くあります。私がお手伝いしている通販会社の例を挙げますと、通常はスイーツが売れ筋なのですが、最近「冷たい肉そば5食セット」という山形のお蕎麦が人気を集めています。 一見普通の名前に思えますが、アンケート調査によると、多くの購入者が「冷たい肉そばを食べてみたい」と思ったそうです。温かい肉そばのイメージしかなかったものに対して、新しい食べ方を提案することで、顧客の興味を引いたのです。
このように、商品名には商品の核心となる部分を盛り込むことが大切です。それが食材なのか、地域なのか、季節なのか、歴史なのか、人物なのか、製法なのか、よく考える必要があります。皆さんの商品の最も魅力的な部分、最も伝えたい部分を商品名に反映させることで、より多くの人に訴求できるはずです。 ぜひ、自分の商品の「売り」は何か、何を伝えたいのかをよく考え、それを効果的に表現する商品名を考案してみてください。
また、商品名の検証の場としてマルシェなどの対面販売も効果的です。お客様と直接対話しながら商品の魅力を伝え、反応を確認できる貴重な機会となりますので、マルシェ等でも積極的にコミュニケーションをとり商品力の向上を目指すことでより売れる商品が多くなると思いますのでぜひご検討ください。
○的早 剛由審査員(マトハヤ・フーズコンタクト(株) 食品表示テクニカルアドバイザー)
(主な審査担当部門 ラベル表示・コンプライアンス)
過去10年を振り返ると、食品表示の質が大幅に向上していることが感じられます。食品表示法の遵守が徐々に進み、「法律に近づいてきている」と感じています。実際に100点満点に近い表示が確認できる製品もあり、これは食品メーカー各社の継続的な研究、工夫、そして努力の賜物だと感じました。
しかし、今回の審査では、いくつかの製品で食品表示法に完全に準じていない例も見受けられました。法定されている表示の順序は、製品名、原材料名、内容量、賞味期限、栄養成分表示の順ですが、守られていないケースもありましたので、該当者には修正をお願いしています。しかしながら、大部分の食品は、法律から見てほぼ100点満点に近い表示がなされており、その点は非常に評価できます。
しかし、完璧な表示がされているからといって安心するわけにはいかないということを皆様には強調しておきたいです。担当部局では表示が法律に準じているかを厳しくチェックしており、見た目に騙されずに中身まで確認を求めてくる場合もあります。例えば、原材料の重量順序など、小さな違いも見逃しません。 最終的には、製品の表示がレシピに忠実であるかどうかを確認し、必要に応じて改正を求めてくる場合もありますので、商品作りの根拠資料など常に整理はしておいてください。
今回の審査を通じて、食品表示の全体的な向上を強く感じるとともに、さらなる改善が期待されることを確信しています。今後も、表示の質をさらに高め、信頼される製品作りを目指していただくようお願い申し上げます。
○ナカジマ ミカ審査員(Design*Magica 代表)
(主な審査担当部門デザイン、ブランディング)
今回、食品のパッケージを見る機会が多かったです。パッケージから食感や原材料が分かるということも販売には大事です。その食品が持つ特徴は何なのかということを、作られている方が捉えにくいのであれば、試食してもらって感想をもらったり、マルシェに出してから名前を決めていくのも良いと思います。 大事なのは、食べないと分からないのではなくて、食べる前に「食べたいな」と思わせる名前をぜひラベルに表記してもらいたいなというのと、そのイメージを色や柄で表現してもらいたいというのを感じました。
失礼ですけれども、並んでいる商品を見ると「道の駅だけで売っていくのであれば、このままでいいけど・・・」という商品がとても多かったという印象です。 もっと全国の人に食べてもらいたいということであれば、もう少し価格を高くしてでもパッケージにお金をかけるとか、デザインにお金をかける、プロの人にデザインしてもらうということが大事なのかなというふうに感じました。
食品以外のもので言いますと、手作り品で一人の方が真心込めて作られたものというのが多くて、それで言うと今すごく限られた販路しかないと思うんですけれども、今の一対一で売るというような感覚をネットやSNS等に持っていって、Instagramで個人の名前でも「こんな商品作ってます」という活動写真を上げていくことで、DMで「欲しい」というような感想とか返ってくるということがあるので、そういう売り方や、minne(ミンネ)やCreema(クリーマ)とか、そういう手作り品ばかり扱っているサイトというのもあるので、思いを綴りながら、売っていくという方法もあるのかなというふうに感じましたので是非ご一考ください。
○本山 喜之審査員((株)ビオスタイルEAT(マーケット)営業部 店舗開発部マネージャー)
(バイヤー審査員)
みんながコロナ禍を経験し、今度は原材料等物価の高騰などで生活が圧迫されている状況の中で、皆さんの商品開発や販売戦略について考えていただきたいことがあります。
以前は「コロナをどう楽しく乗り切るか」というテーマで家で、楽しめるものを作る傾向がありましたが、今は人々の生活にゆとりがなくなっています。例えば、旅行に行った時のお土産の予算が大幅に減っているんじゃないでしょうか。観光地や宿泊施設、飲食店などのコンテンツは楽しめても、お土産を買う予算が減っているという現状があると思います。
そういう状況下で、ぜひ考えていただきたいのは、単に価格を下げるのではなく、商品の内容を見直すことです。例えば、10個入りだった商品を6個入りにするなど、買える予算に合わせて商品を再構成することです。 今回、皆さんの商品の価格を拝見して、安いと感じるものもあれば高いと感じるものもありましたが、それを決めるのは結局、買うお客様です。スーパーでの買い物を想像してみてください。限られた予算の中で、「今日はあまり使いたくないから小さいサイズにしよう」とか「パンも短いものにしよう」といった選択をすることがありますよね。最近のカップラーメンのCMでも、5個入りが3個入りになったと宣伝しています。これも、人々の生活の余裕がなくなってきているからこそ、少しでもその部分に合わせようとしている証拠だと思います。
そういう観点で考えると、今作っている商品、特に食べ物に関しては、量があれば良いという考え方ではなく、量を見直して買いやすい価格帯にすることで、より多くの人に買っていただけるような商品にできるのではないでしょうか。これは、来年、再来年につなげていくための、いわゆるSDGsの考え方にもつながると思います。
例えば、すごくおいしいピザがあったとしても、それを焼くための家庭用オーブンが小さかったら、結局切って入れないといけません。そうなると、そもそも冷凍庫に入るサイズなのかといったことも考える必要があります。量があればいいという考え方ではなく、実際に使う場面を想像しながら商品開発することが重要です。ドレッシングなどの調味料であれば、味の好み分かれるものなので、少量で使い切れるサイズにすれば「ちょっと買ってみようかな」と思ってもらえるかもしれません。作っている時から少し外に出て、俯瞰的な視点で見ることで、様々なヒントが得られるのではないでしょうか。 また、季節性も考慮することが大切です。例えば、チョコレートは冬は売れるけど夏は売れにくい。そうなった時に、夏に売れる商品をどう考えていくかといった発想も必要です。
実は、こういったヒントは身近なスーパーやコンビニにたくさんあります。「ザクザク」「プリプリ」「トロ~リ」といった商品名や表現を見てみると、お客様が求めているものが見えてくるかもしれません。
ものづくりのアイデアは0円からできると私は思っています。皆さんの商品に対する評価を柔軟に受け止め、どうすればよいかを考え、トライアンドエラーを繰り返すことが大切です。良いものは1年では作れませんが、そうやって変化し続けることが歴史となり、価値を生み出します。 ぜひ、こういった形で柔軟に考え、アイデアを出し、トライアンドエラーを重ねれば必ずいいものができると信じています。